ぶざまな変態男が性欲のはけ口にする空気式のダッチワイフ――そんな通念をひとりで塗り替えた男がいる。マット・マクマレンが丹精込めた「RealDoll」は、生身の女の姿態と色香が息づくかのごとき迫真の絶品。クイーンの名曲になぞらえるなら、サムボディ・トゥ・ラヴとも呼ぶべき愛の人形を創造する工房をGQが探訪する。 Photos: Becker Jonathan Text: Ottogiro Machikane ドールハウスへようこそ。サンディエゴ郊外にあるアビス・クリエイションズ社工場内にあるオフィスで、自らが創造してきた「RealDoll」たちに囲まれて過ごすマット・マクマレン ウェストヴァージニア州ハンティントンで生まれてこのかた住んでいる実家。55歳のデイヴィッド・ミルズは、すがすがしい朝の空気に包まれながらも、ビールが恋しい気分でいた。他の寝室では90代の父親が病の床についている。ミ