プラダで経験を積んだフランチェスコの持ち味は“脱力系のカワイイ”にある。動物や椅子のモチーフを洋服にちりばめつつも、単純なカワイイに着地しない。細部を見ると可愛らしいのに、俯瞰するとなぜかスマートでナードな印象を見る者に与えるのだ。 そのみずみずしい独特の感性は、会場の設営にも反映されていた。ミラノ・ウンブリア通りのマルニのショールームには、砂利が敷き詰められていて、ゲストが座る椅子は、古びたトランクや藤の小物入れ、大小さまざまな壷。なかには、ゴーカートや子供用の木馬の席まであって、まるで広大な古道具屋に迷い込んだような雰囲気だ。会場のワクワク感を加速させる楽しい演出に、ショーへの期待は必然的に高まった。 ショーは、ロング丈のトレンチコートを着た初老の男性で幕を開けた。まず目に飛び込んできたのは、動物のモチーフ。ジャージの胸元に鎮座するウサギや、べっ甲のような質感の熊のネックレスは、ゆるキ
![フランチェスコ流のマルニの全体像が見えてきた──マルニ 2018年秋冬コレクション](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/65a9d344cba11624d6e02ad5da4b664ac360963a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fmedia.gqjapan.jp%2Fphotos%2F5d27b631d1446e0008c208c0%2F16%3A9%2Fw_1280%2Cc_limit%2Feye-1.jpg)