2018年1月16日のブックマーク (1件)

  • 【電遊奇譚:其二十九】壁、不条理、世界の果て

    最大限に伸ばして壁にたてかけられたもっとも大きな梯子の頂点に立つと、もっとも背の高い者たちは指の先で天井のすみずみに触れることができる。同じ梯子を地面の中央に垂直に立てれば、五十センチは高くなるので、同じ人体は、到達不可能と思われる伝説的な、しかし原則としてはいささかもそうでない地帯をゆっくりと探検することができるはずである。なぜなら、このような梯子の利用は考えうることだからである。二十人あまりの心の固い有志が力をあわせて梯子をささえ、必要なら、他の梯子をつっかえ棒にして平衡を保てばいいはずである。それこそ同志愛の瞬間である。ところが、同志愛などというものは、それが蝶々には無縁であるのと同様に、彼らにも、暴力沙汰のとき以外には、無縁である。それは感情や知性の欠如というより、おのおのがそれぞれの理想の餌になっているという理由によっている。これが、神話を愛好するものたちの目に、天と地への出口

    【電遊奇譚:其二十九】壁、不条理、世界の果て