タグ

ブックマーク / motimoti3.hatenablog.com (1)

  • もちがやります’- 年上の恋人

    すごく年上の(29歳も年上の)そのひとは、時々ドライブにわたしを誘った。退屈な日曜日の初冬の夕暮れ。「もち行くか。」と言うので、大喜びで「いくいく。」だ。もちと呼び捨てにするのは世界でこの人だけだった。 360ccのシルバーの車*1 にズボンで乗り込んだわたしたちは、シートベルトなんてしないのだった。天も地も車も何もかも灰色で、河の流れだけが限りなく透明に近い群青色だった。当は、あの青い流れの近くまで行って群青と白の三角波を見てみたいと、わたしはねだりたかった。 レースが終わった競馬場の駐車場までくると、車は止まって、 「もち あそこにあるあれ拾ってきて。」と言った。 「うん。」と助手席のドアを開けると猛烈な突風に煽られたが、「あそこにある『あれ』」を目指して駆けた。その人が指差した「あそこにある『あれ』」は赤鉛筆でひどく汚れていたのでわたしは気を利かせてもっと遠くで北風に翻る『あれ』を

    もちがやります’- 年上の恋人
  • 1