新年早々、驚くべき事件が起きた。サウジアラビア内務省がテロ関与容疑者47人の死刑を執行したのだ。大半はアルカーイダ系だが、王家に批判的なシーア派著名法学者も含まれていた。 イラン最高指導者は「サウジは重い代償を払うことになる」と強く非難、一部暴徒が在テヘラン・サウジ大使館に乱入して火まで放った。サウジはイランとの断交を発表、バーレーンなども追随した。欧米外交当局や国連事務総長は今回の死刑執行を「適正手続きに基づかず、宗派間緊張を高める」として懸念を表明している。 だが、筆者がこのニュースに注目する理由はちょっと違う。イラン側の反発・非難自体は驚くに値しないし、サウジにはそもそも欧米が望むような「法の支配」や「人権尊重」など存在しない。 筆者の懸念は、この事件が今年の中東情勢のさらなる混乱に拍車をかけるだろう、ということだ。 今サウジは大きく変わりつつある。メッカなど二大聖地の守護者サウド家