発端は、3月13日の福山市体育館だった。その日、俺はセミ前で 上田さんとのシングルマッチが組まれたのだが、いざ花道を入場し てリングに上がろうとしたら、階段が通常とは逆向きに設置されて いた。 「あれっ、若手の誰かが慌てて反対に置いたのかな?」 俺はそう思いながら、リングに上がり、上田さんと試合をこなした。 階段を間違えて設置したからといって、別に激怒するようなことで ない。だが、俺の後に猪木さんや藤波選手が試合をするので、控え室 に戻ってから若手に「誰がやったのかしらないけど、階段が逆だった ぞ」と注意すると、意外な言葉が帰ってきた。 「あれは藤原さんがされたんですよ」 「えっ、藤原が!?」 どうして、藤原はそんなことをしたのか。理由はすぐにピンと来た。 藤原にしてみれば、一緒に西ドイツに遠征した時は同格だった俺が アメリカで成功し、いざ凱旋したら上の方で使われていたから、ジ ェラシーを
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