『「踊る大捜査線」は日本映画の何を変えたのか』 (日本映画専門チャンネル編・幻冬舎新書)より。 (映画『踊る大捜査線』の大ヒットの要因、その功罪について、さまざまな関係者にインタビューしたものをまとめた新書の一部です。映画ジャーナリスト・斉藤守彦さんのインタビューから) 【「踊る」の一作目が公開されたとき、僕はある雑誌の依頼で、亀山(千広)プロデューサーに取材して記事を書きました。そのとき一番印象に残った言葉があります。 亀山さんは「踊る大捜査線」を劇場公開するにあたり、初め東宝の人たちと話し合いを持ったそうです。 すると東宝の人が、「この映画を当てるために青島刑事を殺してくれ」と言い出した。 なぜなら、主人公が死んだ映画というのはヒットするから。そして何と「主人公が死んで当たった映画のリスト」まで持ってきた。 それに対して亀山さんは、「なんで俺たちがここまで育てた青島を殺さなきゃいけない