以下全て『フラット・カルチャー』(せりか書房2010年10月)「新聞的「言論」の現在形」(遠藤知巳)より引用。 マス・メディアについて見れば、新聞の発行部数は中国に次いで二位。アイスランドとノルウェーに続く世界三位の新聞普及率は、人口規模を考えれば驚くべき数字である。アメリカは日本の一/三、英仏独ですら半分程度かそれ以下しかない。テレビの平均視聴時間は三時間半前後で、アメリカと並び、世界でもっともテレビを見ている国民の一つだろう。 P352 あれだけ新聞を罵るネット住民たちが、疑わしい発言に対して、アップされた新聞記事という「ソース」を当然のように要求する。(中略)懐疑と「信頼」の循環に自足できている(中略)この社会における「言論」は、新聞的なものの引き延ばしと分散でありつづけている。ネットの書き込みやおしゃべりとの境界を曖昧にしながら、新聞がいまだに「言論」の顔をするしくみがある P35