東京五輪2020卓球で、伊藤美誠と組んだ混合ダブルスで中国を破り金メダルを獲得した水谷隼が引退を表明した。 回転という要素を持つ複雑多様な競技である卓球は、安定して勝ち続けることは極めて難しい。特に一発勝負の勝ち抜き戦で勝ち続けることは至難の業だ。苦手のある選手は組み合わせ次第で足元をすくわれるし、オールマイティな選手は爆発力に欠け絶好調の選手に勢いで押し切られる。ネットインやエッジボールなどの不確定要素もある。 全日本選手権の男子シングルスで初めて4連覇したのは、日本卓球史上最強の選手と長く謳われた藤井則和で、1949(昭和24)年度のことだった。その記録は実に61年間も破られることはなかった(齋藤清が1985年度に4連覇タイを記録)。それを破る5連覇を達成したのが水谷隼だった。2010年度のことだ。 水谷の連覇は吉村真晴によって5で絶たれたが、そこから水谷はさらに優勝を重ね、前人未踏の