2023年12月、日本製鉄は米鉄鋼大手USスチールの買収計画を発表した。これに対し、米大統領選の激戦州のひとつペンシルベニアに本拠を置く労働組合などが反対の声をあげたことから、買収が政治問題に発展。バイデン大統領だけでなく、共和党候補のトランプ、民主党候補のハリスともに、日本製鉄の買収を阻止する意向を表明した。 英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」はこうした米政府の対応を、「最良の同盟国である日本に対する裏切り行為」だと揶揄する。 日本製鉄がこの買収計画を無邪気に発表したのは、2023年12月のことだった。その後、同社は買収価格を当初の合意から40%上乗せすることを提案し、その額は150億ドル(約2兆1600億円)に達したが、米国側は強硬な姿勢を崩さない。 米国の大統領選がおこなわれる年に、外国企業による買収がどんな扱いを受けるのか、日本製鉄はその点を軽視していたのかもしれない。 日本製鉄