2022年2月ごろ、大阪府の高島淳子さん(61)は、1人暮らしの次男・晨伍(しんご)さんの様子に異変を感じた。息子は医師。神戸市にある「甲南医療センター」の消化器内科に勤務し、毎日、自宅を早朝に出て深夜に帰宅する日々が続いている。土日もない。 【表】勤務医の残業規制、9割守れず…「不可能」 以前から2週間に1回程度、神戸市の下宿先に寄って掃除をしたり、差し入れをしたりしていた。ただ、きれいだった部屋が次第にゴミが散乱するようになっていった。冷蔵庫にはゼリー飲料しか入っていない。 明らかな過重労働。医師の仕事が一般に大変なことは知っていたが、精神をむしばまれるほど働かせるのはやっぱりおかしい。でも、どうすればいいのか。心配する淳子さんの前で、晨伍さんはさらに危険な状態になっていった。(共同通信=禹誠美) ▽「俺は1日20時間働いた」 淳子さんは、晨伍さんがかつて「優しい上級医になりたい」と話