■ 国際政治学の教科書には、そのサブ・カテゴリーとして、「各国政治史」がある。次のようなものがある。「教科書」は、「体裁の判りやすさ」と「必要な知識の提示」が両立していなければならないと思うけれども、この両立は、実は難しい。 ● アメリカ史 ① 斎藤真、『アメリカ政治外交史』(東京大学出版会) ② ジョージ・F・ケナン、『アメリカ外交50年』(有賀貞他訳、岩波現代文庫) ③ 村田晃嗣、『アメリカ外交』(講談社現代新書) ①は、この英訳書が米国で教科書として使われたという逸話を持つ書である。確かに、「簡にして要を得た書」というのは、こういう書のことをいう。 ②は、古典である。何も付言することはない。 ③は、最近のものでは、もっとも判りやすい書である。ウォルター・ラッセル・ミードとジョセフ・ナイの議論を下敷きにして、村田教授の味付けが為されている。 ● ロシア史 ① アダム・B・ウラム、『膨張