東京・日本橋は,川面からの視点でデザインされている。 そんな一説があるほど,水辺から見た風景はかつて,まちの顔であった。 橋はそのシンボルにほかならない。 環境への意識が高まるなか,水をめぐる景観の大切さに私たちはあらためて気づいている。 この連載では,世界各地で橋がつくってきたまちなみ,“橋なみ”をめぐっていきたい。 程陽(永済)橋(1924年創架,1983年架け替え)。規模,デザインともに風雨橋の白眉。全国重点文物保護単位(国の重要文化財)に指定されている 民族の誇り 中国西南部の山岳地域に侗(トン)族という少数民族が住む。そこには,かつてわが国にもあったと思えるようなひなびた山村が点在する。そんな集落の近くに「風雨橋」と呼ばれる壮麗な屋根付きの橋が数多く架けられている。これらの橋は集落への玄関口として集落のシンボルであり,民族の誇りともなっている。 風雨橋のなかで,規模,デザインとも