今回は深作欣二監督作品の『里見八犬伝』(1983年公開)を紹介する。『里見八犬伝』をモチーフとした作品は、本作以前にも何度も舞台化・映像化されているが、同作は、それまでとは大きく違うアプローチをした作品として有名だ。まず江戸時代からある読み物としての『南総里見八犬伝』とは作品の内容が大きく違っている。 作品形式としては、時代劇扱いなのだが、いきなり小気味良いロック調BGMで始まるなど斬新だ。その他の場面でも随所に洋楽風のBGMが使われており、当時角川春樹事務所製作の映画らしい、新しい映像作りの努力がみられる。 また、首が切られて飛ぶシーンや、老婆がムカデに変わるシーンなど若干ショッキングなシーンがあるのも、この時代の角川春樹事務所製作映画の特徴だ。 アクション面でもかなり派手になっている。JAC(ジャパンアクションエンタープライズ)全面協力による殺陣シーンは圧巻の一言。犬江親兵衛役の真田広