妻が知人の結婚式に出る準備を始めている横で、「結婚式といえばライスシャワーやなあ」などと適当な事をつぶやいていると、なぜ普段から冠婚葬祭の行事には一切参加しようとしないあなたがライスシャワーなんていうシャレた言葉を知っているのか、と驚いてたずねてきたので、私はそこで「何回走ってもライバルが強すぎて2着ばっかりの馬がおってやな」と今から25年前の、私が十代の頃に活躍した一頭の競走馬の名前を挙げる。長年競馬を見ている人ならばその縁起の良い名とともに、栄光が一瞬でくずれ落ちるような悲惨な最期を迎えたこの馬を覚えている人も多いだろう。1989年に生まれた黒鹿毛の、牡馬(雄)にしては小柄な430キロ台の馬体。同世代には坂路調教で鍛えあげられた500キロ近い重戦車のような、圧倒的な強さを誇るミホノブルボンがいた。私は当時学校の勉強もせずにサラブレッド血統辞典や競馬四季報、各種情報誌や競馬新聞を読みあさ