こちらを見つめる大きな瞳、愛らしい表情、丸みを帯びたボディー…。SNS(会員制交流サイト)の普及で、昭和40~50年代に全国の洋菓子店で盛んに作られた「たぬきケーキ」の人気が再燃している。町の洋菓子店とともに一時は表舞台から姿を消したが、時を経て、SNS映えする見た目や老舗の味が令和の甘党を引きつけている。(末永陽子) 「表情がかわいい」 神戸市長田区の洋菓子店「パティスリー・ド・ロマン」。40代女性会社員が、お目当てのたぬきケーキに歓声を上げた。ネットで調べて、兵庫県加西市から来店。「作っている所が少ないので、“捕獲”しにきました」と笑顔を見せた。 「大きな耳がうちの特徴。みんな男前でしょう」。2代目として店を切り盛りする須留原(するはら)光浩さん(56)が、胸を張った。 一般的に「たぬきケーキ」とは、バタークリームでたぬき形に成形し、チョコレートでコーティングされた商品を指す。平成以降