大阪市を廃止して四つの特別区に分割する「大阪都構想」は11月1日の住民投票直前になって、大阪市民は得をするのか損をするのか、真逆の数字が飛び交う事態になっている。大阪市廃止・分割によって、行政運営経費が膨らむのか削減されるのかという問題だ。自治体再編の根本的なテーマがこの期に及んで激論になること自体、大阪都構想の制度設計が自治体再編としては「欠陥商品」である証拠だ。 大阪市財政局の試算が騒動に路地に入り「大阪市廃止反対」と訴える市民ら=大阪市生野区で、筆者撮影 10月23日から24日にかけて、新聞、テレビで「大阪市財政局が大阪市を4分割すると行政運営コストが218億円増えると試算した」と報道された。自治体の予算編成では地方交付税法に基づき、標準的な行政運営にかかる費用「基準財政需要額」を計算しており、大阪市財政局がこの方法に則って「4分割したら費用がいくらになるか」を算定したところ、現状よ