福島第一原発の事故から8か月あまり。いま福島原発から出ている放射性物質「セシウム」の量は、事故直後の1300万分の1にまで減少している。11月17日の会見で政府・東電統合対策室は、年内の原子炉冷温停止に自信をのぞかせ、ようやく出口が見え始めたかに見えた。関連記事【放射能漏れ】阿武隈川から放射性セシ…放射性物質、10日で地球一周 半分以…記事本文の続き しかし、その後、原発3号機の原子炉建屋内部で毎時1600ミリシーベルトという、測定が始まった5月10日以降で最高の放射線量が記録されたことが発覚。国民の間には「やっぱりまだ危険なのでは…」という恐れが増している。 安心と不安が混ざりあうなか、私たちの生活にかかわる重大なニュースも発表された。これまで国が発表してきた放射能汚染マップは東北、関東の12都県分にとどまっており、「放射性物質が飛んだのは東北・関東だけ」と思い込んでいた人も多いはず。
福島第一原発事故発生当初、ほうれん草などの“葉物”を中心に放射能汚染が相次いだ。しかし、これからは“根菜”が問題になってくるという。放射線防護学に詳しい日本大学専任講師の野口邦和さんはこう話す。 「葉の表面に付着した放射性物質が落ちたいま、根からの摂取が脅威になります。セシウムは主に深さ5cmまでの土壌に滞留するので、さつまいもなど地表に近いところに根を張る野菜に気をつけるべきです」 北里大学の伊藤伸彦教授(獣医放射線学)がセシウム対策としておすすめするのは、栄養素の一種であるカリウムが豊富な野菜だ。 「セシウムとカリウムは、有毒か無毒かの違いをのぞけば、実は非常に性質がよく似ているんです。カリウムをたくさん摂取しておけば、セシウムが体内にはいり込む余地が少なくなります」(伊藤さん) カリウムを多く含むのは、豆類や海藻類のほか、かぼちゃやトマト、なすなどの夏野菜だ。また、セシウム除染のため
印刷 関連トピックス原子力発電所東京電力 東日本大震災から半年を機に、朝日新聞社は9月下旬、福島大学の今井照(あきら)研究室と共同で東京電力福島第一原発事故による避難住民への聞き取り調査をした。住んでいた地域に「戻りたい」という人は43%で、前回6月調査の62%より減った。震災で家族が別々に暮らすようになった人は46%と半数近くに上った。 放射能汚染への不安から妻子らがより遠方に避難している例が目立ち、原子力災害に伴う特徴が浮かび上がった。除染の遅れや難しさを感じている人が多い。 住んでいた地域に「戻りたい」「できれば戻りたい」は計65%(前回79%)、「あまり戻りたくない」「戻りたくない」は計17%(同12%)だった。 今回調査に答えた人のうち前回「戻りたい」と答えていた人は169人。このうち今回も変わらず「戻りたい」としたのは半数あまりの91人。42人は「できれば戻りたい」、1
放射性同位体ポロニウム210は,多くの人が考えているよりもずっと身近なところにまで広がっている。世界で年間に6兆本近いタバコが吸われているが,その1本1本が少量のポロニウム210を肺に送り込んでいるのだ。 植物のタバコには低濃度のポロニウム210が蓄積する。その大部分は肥料に含まれている天然の放射性元素から生じたものだ。喫煙者が吸入したポロニウムは肺の“ホットスポット”に定着し,がんを引き起こす原因となりうる。ポロニウムはタバコの煙に含まれる発がん物質として主要なものではないだろうが,それでも米国だけで年間に数千人がこのせいで死亡していると考えられる。 そしてポロニウムが他の発がん物質と異なるのは,これらの死が単純な対策によって避けられたはずだという点だ。タバコ産業はタバコにポロニウムが含まれていることを50年近く前から知っていた。私はタバコ産業の内部文書を調べ,メーカーがタバコの煙に含ま
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