将棋ソフトが年を追うごとに強くなっている。現代最強ソフトは「激指《げきさし》」(独立行政法人研究員・鶴岡慶雅氏らの作品)で、アマチュア初段程度の棋力の私では全く勝てないレベルにある。そして情報技術(IT)の進展とともに、将棋ソフトがさらに強くなっていく方向は確実で、いずれはプロ棋士と雌雄を決さざるを得ないことになる。 チェスの世界では、人間の世界チャンピオン・カスパロフが、一九九七年に米IBM製スーパーコンピュータ「ディープブルー」に初めて敗れた。将棋はチェスに比べてルールが複雑なので、チェスほど早く人間の最高峰にまで到達できず、「激指」もようやくアマチュアのトップクラスと肩を並べるようになったところである。 しかしここで注目すべきは、チェス最強ソフトを作るためにはIBMという巨大組織の資本が必要であるという考え方は、九〇年代までの古い感覚だということなのだ。これからは「最強ソフトを作