紅海の南端海域から、「アフリカの角」と呼ばれるソマリアとアラビア半島の間にあるアデン湾およびソマリア沖周辺に出没する海賊集団。紅海は欧州とアラブ産油国からアジアへとつながる重要な輸送ルートで、日本の原油タンカーを含めて世界中の船舶が行き来する。海賊は自動小銃や携帯ロケット砲で武装したイスラム系のソマリア人たち。彼らは複数の高速小型艇でターゲットにした貨物船に接近し、ロープをつたって乗り込む。だが、船員に危害を加えたり積み荷を収奪したりすることはなく、高額な身代金を要求するのが目的である。ソマリア海賊集団の襲撃が始まったのは、1990年代初頭。長引く内戦下で貧窮した現地人たちが武器を手に入れ、沖合を通る船舶を襲い始めた。2006年から急増しており、国連の報告によると08年(1~10月)だけで65隻の船舶が襲われ、推定総額24億~30億円の身代金が海賊集団に支払われている。この襲撃数は世界の海