12.リステリア菌とリステリア症 -食品衛生の立場からにわかに注目される ようになった- リステリア症(Listeriosis)というのはリステリア菌による人畜共通感染症(伝染病)で、ヒトや動物の敗血症、髄膜炎など致命率の高い感染菌の病原菌として知られていた。1980年代になり、欧米諸国でキャベツサラダ(コールスロー)、牛乳、チーズなどの食品を介してリステリア症の集団発生が相次ぎ、また1987年から88年にかけてフランス、スイス、デンマーク産のチーズからリステリア菌が検出された。これらを契機にリステリア菌とその感染症が、食品衛生および公衆衛生の分野で世界的に注目されるようになった。 リステリア菌とリステリア症のプロフィル リステリア菌はグラム陽性、鞭毛を持つ無芽胞の短桿菌(0.4~0.5×0.5~2.0μm)で、分類学的にはListeria属に入れられていて、この属には8菌種がある。これら