組織や会社の統廃合は日常茶飯事となったが、異なる文化やルールを新しい組織に移し替えるのは並大抵のことではない。最近、都市の空洞化により学校統廃合の問題がよく話題にのぼるが、公立の小学校は地域との結びつきも強く、企業より問題は複雑だ。この高いハードルを越え、統合から10年経った博多小学校を訪れた。 同校が位置するのは、伝統的で大規模な祭りである博多祇園山笠や博多どんたくが行われる古くからの商人の町。自治の最小単位である4つの校区は、お互いにライバル意識、自治意識が強く、競い合うことで文化を築いてきた。そのため、統廃合に対する抵抗感は根強かった。しかし、この福岡都心部の少子高齢化は止まらず、小学校の統廃合も待ったなしとなっていた。 「ライバル意識が旺盛な4つの地域をぎりぎりのところでまとめたのは、”日本一の小学校をつくろう”という高いビジョンでした」。そう当時を振り返るのは、西祐治校長だ。日本