漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ『妄想猫観察』。暖かくなると、ベランダに出たがる愛猫。よく日光に当たった後、部屋に戻ると繰り広げられる”フェス”が飼い主を悩ませます……。 めっきり春だ。 コロナの流行で花見こそできなかったが、そんな人間の危機的事情に関係なく桜はぽこぽこ咲いて、ぽろぽろ散ってしまった。咲かなくても困るし、いつも通りのことが起きているというのはある意味では救いでもある。その調子で来年も頑張って欲しい。来年こそ、咲いた桜に目もくれずに団子を食べたい。 さて猫は、暖かくなったので外に出たがる。足元まで来て「ん」といつも通りのかわいい顔面で主張するので、ベランダへの扉を開ける。いざ脱走、という気配もなくただ広いところにころころ転がり、よく日光に当たっている。かわいいし、えらい。きっとあのふかふかの毛玉の何割かは日光によって維持されているに違いない。薄っ暗い部屋でブルーライト