信念を曲げる、ブレる、一貫性がない。どれも否定的なニュアンスで使われることが多い言葉だ。政治家が変節しようものなら、多くのメディアや、敵対する政党がそのことを一斉に叩くだろう。アメリカでは政治家の過去の発言と、それとは食い違う最近の発言を交互に放映する番組が人気を博しているそうだ。日本の週刊誌や新聞でも、その類いの記事はよく見かける。 リーダーには確固たる信念をもって、ブレることなく、邁進してほしいと思っている人が多いと思う。しかし不確実性が高く、先が見通せない現代において、リーダーは本当にそれでいいのだろうか?信念に固執したせいで、大きな損失を生み、破綻した企業というのがいくつも思い浮かぶ。ビジネスにおいても人生においても、周りからの説得を受け入れる柔軟性は軽んじられていると著者はいう。人間は現状維持バイアスに侵されており、今のままを好む傾向にある。しかしブレることは決して悪いことではな