アタカマ砂漠に建設中のアルマ望遠鏡と天の川(日本アンテナ組立エリア)。(画像提供:国立天文台) 2011年10月6日~10月13日に開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭のインターナショナル・コンペティション招待作品『光、ノスタルジア』(パトリシオ・グスマン監督)は、南米チリ共和国にあるアタカマ砂漠が舞台だ。世界一乾燥した土地といわれるこの砂漠は、大気の揺らぎや湿気を嫌う天文観測に極めて適しているため、世界中から天文学者が集ってくる。一方で、灼熱の太陽が照りつけるアタカマ砂漠は、古代人のミイラや、遭難した探検者、銅や硝石の採掘鉱夫たちの亡骸が、手つかずに残っている場所でもある。そしてまた、ピノチェト大統領(在任1974年~1990年)による独裁政権下で政治犯として捕らわれた人々の遺体もここに埋まっている。生命の起源を求めて、天文学者たちが遠い銀河を探索するかたわらで、行方不明になった肉親