東京都江東区の富岡八幡宮で、宮司の富岡長子さんが殺害され、運転手も刺されて重傷を負った事件。富岡さんの弟の富岡茂永容疑者との間にあった宮司の地位をめぐるトラブルにばかり注目が集まっているが、事件現場では、“もう一人の女”の異様さが際立っていたという。第一通報者に接触したノンフィクションライター・柳川悠二氏がリポートする。 * * * イベントの運営を手がけるAさん(41、自営業)は、12月7日の午後8時過ぎ、富岡八幡宮からほど近い自宅に帰ろうとしていた。地下鉄・門前仲町駅から大通りを歩いていると、一本の道を挟んだ富岡八幡宮の方向から人が争う声が聞こえてきた。最初は、カップルか夫婦の痴話喧嘩かな、と思った。しかし、叫ぶような声も耳に入ってきて、複数人による言い争いのようにも聞こえた。 その声色が尋常ではない。気になって富岡八幡宮の方向に歩いて行くと、境内脇の通りをスーツ姿の男性が歩いて行くの