厳しい寒さが続いた1月。東京都大田区中馬込の住宅で、死後1週間以上が経過した無職の男性(87)の遺体を近所の知人が見つけた。認知症の妻と知的障害を持つ息子と暮らし、買い物や食事の準備、施設への送迎など懸命に2人を介護していた男性。布団の中で息絶えていたが、妻と息子がその死に気付くことはなかった。男性の最期は、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の悲しい現実を映し出している。(石井那納子) 昔からの近所づきあいが残る住宅地で、坂道の多さから「九十九谷(つくもだに)」と呼ばれる馬込地区。男性は認知症の妻(80)と知的障害を持つ息子(51)の3人で生活していた。年金生計で暮らしぶりはつましかった。 「最近、お父さんが食事をしないの」。1月15日夜、妻は近所の知人女性にこう打ち明けた。心配した女性が16日に家を訪れ、布団に横たわったまま亡くなっている男性を見つけた。 警視庁池上署の調べによると、死