付加価値がどのような割合で賃金と利潤に分配されるかという問題は、リカード、マルクス以来の大問題である。 そして、いま労働分配率が低下傾向をたどっているのは、グローバルな規模で進行している格差拡大の象徴であるとも言われる。日本も同じであって、間もなく投票される参議院選挙でも大きな論点になっている。 当たりまえの点に気がついたのでメモしておく ― いま思いつくのも頭脳活動が低下した証拠だが。 国民所得とは付加価値の生産に参加する生産要素が獲得する報酬の合計である。 総人口が100として100全員が現役世代であれば、付加価値は働いて得る労働所得と資本を提供して配当・利子・賃貸料のいずれかを得る資本所得のいずれかに分かたれるという見方が経済分析の上でも効果的だ。もし労働所得部分に経営者自らが働くことの報酬である役員報酬(の一部)を含めるとすれば尚更だ。 もし全員が現役世代であれば、実質賃金の上昇は