概要 欧州中央銀行(ECB)は、大きなサプライズがないかぎり、6月の利下げを開始するとみられている。利下げが遠のく米国とユーロ圏の相違が目立ち始めている。2022年の物価高騰局面では、1970年代のように高失業率と高インフレが共存するスタグフレーションに陥るという見方も一部には出ていた。しかし、むしろスタグフレーションとは逆方向の、物価上昇率が低く、失業率も低い状態に落ち着くかのように見えている。こうした点は、日本や米国とも共通している。 足元のユーロ圏経済は持ち直しつつあるものの、力強さを欠いている。先行きの景気も、緩やかな持ち直しに転じると期待される。物価上昇率が落ち着くという見通しが前提になっているため、物価上昇率が上振れると、利下げが遠のき、実質購買力の回復にも時間を要するなど、景気回復シナリオが崩れることになりかねない。 1. スタグフレーションとは逆方向へ 欧州中央銀行(ECB
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