→紀伊國屋書店で購入 「寄生虫学者は「変人」か」 藤田紘一郎(感染免疫学者) 『自分の体で実験したい』は、危険も顧みず、科学のために自分の体で実験した科学者や医学者たちのノンフィクションである。本書の「おわりに」と巻末の年表では、私自身のサナダ虫の実験についても言及している。 私は一九九六年以来、サナダ虫を二〇年以上お腹に飼っている。初代の「サトミ」ちゃん、二代目「ヒロミ」ちゃんと飼い続けて、最後の「マサミ」ちゃんまで、計五代のサナダ虫を飼い続けた。五代目の「マサミ」ちゃんは残念ながら、昨年の冬死んでしまって、今、私のお腹のなかにはサナダ虫が棲んでいない。そして、私が飼い続けたサナダ虫、正式の名前は「日本海裂頭条虫」というが、このサナダ虫は日本ではほとんど見られなくなっている。 サナダ虫の寿命は約三年である。日本語で「虫がわく」という言葉があるが、普通では寄生虫が人体内で増えることはない。