人口2千人あまりで深刻な過疎化や少子高齢化に悩む奈良県東吉野村で、官民が手を携え、若者らの移住を促すプロジェクトが進行している。都会からの移住者が自ら体感した魅力を発信。アドバイスを受けた行政が空き家の活用策や子供の医療費無償化などの制度を整え、成果が出始めている。年内には、改修した空き家を仕事場として利用してもらう「シェアオフィス」も開設される予定。小さな山村の挑戦は、自治体の過疎化対策のモデルケースにもなりそうだ。(有川真理) ■大阪から“Iターン” 「地方は手つかずの素材の宝庫。自然に刺激を受け、いい作品を生み出すことができ、仕事の幅も広がりました」。7年前、東吉野村に移住したデザイナー、坂本大祐さん(39)が笑顔で語った。渓流沿いにあるアトリエは、雄大な自然に囲まれている。 大阪府大阪狭山市出身。専門学校で建築やデザインを学び、大阪市内の家具店に就職した。その後、デザイナーとして独