医者には向いていないと自覚し、作家になろうと思い定め、生活費を得るために教師の資格をとって教職についた。知的障害児の教室で教える仕事も引き受けて、この教室で、あの少年と出会った。授業のあと、少年はキイス先生のもとにやってくるとこう言った。「先生、ぼくは利口になりたい。勉強して頭がよくなったら、ふつうのクラスに行けますか」この言葉が『アルジャーノンに花束を』をこの世に送り出す大きなステップとなった。 (ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』ハヤカワ文庫、2015) こんばんは。引用は、訳者である小尾芙佐さんのあとがきより。教員だったんですね、ダニエル・キイス(1927-2014)は。読み始めたときも、読んでいる途中も、読み終えてからも、教員こそが読むべき一冊だ(!)と感じていたので、俄然、親近感が湧きます。Wikipediaで調べたところ《ニューヨークの高校で国語教師を務めつつ、定時制で