受賞作「夜は短し歩けよ乙女」で、初めて“女の子”文体に挑戦した。「まな娘」のような4作目でのスピード受賞に、「娘の七光りで親がいい気になっちゃいけない」。ひょうひょうとしたものだ。 奈良県生まれ。京都大学大学院に在学中の2003年、モテない男子学生の妄想に満ちた不毛な日常を自意識過剰の独白体でつづった「太陽の塔」で日本ファンタジーノベル大賞を受け、デビューした。現在も京都に住み、図書館勤めの傍ら、主に京都を舞台に作品をつづる。深夜の先斗町(ぽんとちょう)を走る3階建て電車や、京大らしき大学の「詭(き)弁論部」の存在など、登場する奇妙な場面の数々は、「路地を一歩間違えると、知らない世界に迷い込みそうな京都のイメージに寄りかかっているから」だ。 「全身全霊で小説に打ち込むと、逆に不健康な作品になる」と、選考会当日もいつも通り出勤、帰り際に携帯電話で朗報を受けた。「油断していたので、かなりびっく
2003.6.3 高野史緒と話をしていてふと気付く。 私はイギリス人の小庭作りとチロルの民家のベランダに一律ぶら下がっているベゴニアの鉢が死ぬほど嫌いだ。見ると叩き壊したくなる。 2003.6.12 亭主と一緒に新宿へ行って『戦場のピアニスト』と『シカゴ』を梯子。 どちらも非常にようござんした。 前者は、映像と色彩はしっかり設計されているし、第二次世界大戦中のワルシャワ史がさしたる不自然さも感じさせずに主人公の目の前を流れて行くし、なのにどこの人間にも損はさせないという点でもよくできている。つまり、同化ユダヤ人の中産階級はひたすらに可哀想だし(これが『神に選ばれし無敵の男』に出て来るようなディープなユダヤ人たちの悲劇だったら、無残な話だが、こっちの同情は少しく減じたように思う――ハシディズム大好きの私にしてからそうなのだから、他の日本人は尚更であろう)、大方のポーランド人のユダヤ人嫌いは隠
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