工場やオフィスを建てるにも、自分の家を建てるにも、結婚式や葬式をするにも、レストランや居酒屋に行くにも、いくらかけてどのくらいの利益や満足を得ようかと、誰もが考える。ところが、東日本大震災からの復興計画には、一定のお金でどれだけの効果を得るかというコスト感覚がない。 震災で自分の会社の工場が壊れてしまったら、まず再建を考える。撤退も考えるかもしれないが、通常は、今の工場を造り直し、設備を安価でより良いものにし、需要を考えて生産能力を増減することを考える。すると、まず、いくら壊れて、いくらかけて再建するかが出発点である。 政府の復興計画でも同じであるべきだ。まず、道路や橋や港湾などは税金で直す。津波が再び来るような場所に道路や橋を造れないから、なんとか土地をやりくりして造り直す必要がある。漁船や漁具や水産加工所や農業施設や住宅は、個人の財産であるから、全額を税金で建て直す訳にはいかない。しか
東日本大震災からの復興のための2011年度政府予算、15兆円のうち、4割が使われなかったという。道路や橋などの建設に予算をつけすぎたため、使い切れなかった。 残ったのは5.9兆円だが、4.8兆円は12年度に繰り越され、予定通りに復興事業に使うが、1.1兆円は使い道がないため、国庫に戻すという(朝日新聞6月29日付他各紙)。 中でも、復興庁の繰越額1兆3101億円、不要額38億円、国土交通省の繰越額9571億円、不要額5162億円、環境省の繰越額5799億円、不要額344億円などが目立つ(復興庁「平成23年度東日本大震災復旧・復興関係経費の執行状況(予備費・1次〜3次補正)」6月29日)。 ◆最初の予算が大きすぎた あれだけの大災害の後で、被災地の役所も損害を受け、中央官庁も混乱していたのだから、過大な請求があったのは止むを得ない。多少の非効率や無駄があっても、一刻も早い復興を優先す
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