10年ちょっと前、人々は『美少女戦士セーラームーン』に浮かれていた。「熱中していた」とか「ブームだった」と言うよりは「浮かれていた」という表現のほうが適切だ。子供達は楽しく観ていた。別のところで、いい年したアニメファンのお兄さん達は『セーラームーン』でハシャいでいた。 第1シリーズの頃、ガで名前が始まる某アニメスタジオでは、放映が始まる時間になると、作画打ち合わせ中でも中断して、他社の人も一緒になって『セーラームーン』を観ていた、なんて逸話もある。そういうあなたは? と問われれば、勿論、僕だって浮かれていた。アニメ雑誌のライターとして、放映開始前から、この『セーラームーン』と付き合っていて、この作品がどんどんノリがよくなり、人気が加熱していくのを間近で見ていたのだ。ひょっとしたら『セーラームーン』で日本で一番浮かれていたのは僕かもしれない。 とあるアニメ監督と「まこちゃん、亜美ちゃん、レイ