紹介 緑の木々に覆われた山を歩きながら、私たちは、そこが五十年前にはげ山であった姿を想像できるだろうか?山の地肌が消え、土砂崩れが減り、川から砂がなくなる-これら二十世紀におきた変化は、日本史上初のものだった。変化は副作用をもたらす。サルやクマの人里への出没、海岸の道路を崩壊させる"砂浜流失"、そして花粉症。各地で起きる問題の根源に山地の変化があることを見抜き、土砂の流れを分析して私たちの誤った思いこみを次々と覆す。自然環境と災害について発想の転換を迫る提言の書。 目次 第1章 海辺の林は何を語るか-津波と飛砂 第2章 はげ山だらけの日本-「里山」の原風景 第3章 森はどう破壊されたか-収奪の日本史 第4章 なぜ緑が回復したのか-悲願と忘却 第5章 いま何が起きているのか-森林増加の副作用 第6章 国土管理の新パラダイム-迫られる発想の転換