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  • 第88回 睡眠リズムの乱れは心の乱れ、躁うつ病では顕著

    精神科医であれば、躁うつ病(双極性障害)では気分が日々の睡眠状態の影響を受けやすいことは診療経験からよく知っている。患者さんが徹夜をしたり、逆に長時間寝たり、夜勤などで昼夜逆転した後に、気分の大きなアップダウンが起こることが多いのである。 双極性障害では気分が高揚する躁状態と、気分が落ち込むうつ状態の両方がみられるが、特に躁状態と睡眠の関係が深い。躁うつ病が再発する原因を調査したある研究では、3分の1の患者さんで睡眠時間が短くなった翌日に気分が大きく高揚するという現象がみられている。短時間で自然に目が覚めた翌日に高揚することもあれば、たまたま徹夜した翌朝から高揚することもある。 気分の高揚は双極性障害における躁状態の症状のひとつに過ぎない。いったん躁状態が発症すると気が大きくなり、時には尊大になって顰蹙(ひんしゅく)を買う、怒りっぽくなって人間関係を壊してしまう、金遣いが荒くなって借金を重

    第88回 睡眠リズムの乱れは心の乱れ、躁うつ病では顕著
  • ウサギ30匹以上が毒殺される、犯人不明、米ネバダ

    ネバダ州が運営する児童精神科の施設で放し飼いにされていたウサギの死体。この場所では800匹以上のウサギが暮らしており、その多くは捨てられたペットだ。そのうち30匹が毒殺されているのが発見された。(PHOTOGRAPH COURTESY OF BUNNIES MATTER) 毒殺されたウサギ数十匹が発見された。2月18日、米ネバダ州ラスベガスにある児童精神科施設デザート・ウィロー・トリートメント・センターの外でのことだ。 同センターでは数年前、患者の癒やしになればと考え、ウサギ2匹を放し飼いすることにした。2匹は繁殖し、その子供たちも繁殖した。すると、人々が引き取り手のないペットのウサギを連れて来るようになった。今では、専門のボランティアグループが結成され、ウサギたちの餌やりから世話、救助までを担っている。グループは数百匹のウサギを収容できる保護区をつくり始め、完成に必要な資金をほぼ調達し終

    ウサギ30匹以上が毒殺される、犯人不明、米ネバダ
  • イヌやネコはなぜ死んだ飼い主を食べるのか

    イエローのラブラドール・レトリバー。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK) 1997年、ドイツ、ベルリンの科学捜査官が、ある珍しい事件に関する論文を学術誌「Forensic Science International」に投稿した。事件の夜、31歳の男性が母親の家の裏庭にある、物置を改装した小屋にこもっていた。彼はそこで飼いイヌのジャーマン・シェパードと一緒に暮らしていた。 午後8時15分頃、小屋のほうで銃声が鳴ったのを、近隣の人々が耳にした。 45分後、その男性が拳銃で口を撃ち抜いて死んでいるところを母親と隣人たちが発見した。男性の手にはワルサーの拳銃が、テーブルの上には遺書が置かれていた。 その後、警察官がさらに驚くべきものを発見した。彼の顔と首の大半は消え失せ、傷の縁には歯型が付いていた。 理由はすぐにわか

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  • 第4回 嘘を見破る4つの方法とその精度

    嘘がクローズアップされる時代だ。 2017年、アメリカ大統領選挙では、まさに嘘が選挙を左右したとすら言われる。 大統領選の間に、たとえば「ローマ法王がトランプ支持を公式に表明した」「民主党候補ヒラリー・クリントンは、テロ組織に武器を売却した」「とあるピザ屋がクリントンがかかわる児童売春組織の拠点となっている」などの虚偽のニュースが流され、ソーシャルネットワークで拡散した。 それらのほとんどがヒラリー・クリントンを貶めるものであったため、選挙戦に影響したとされる。 心理学的な嘘の研究から、こういった現代社会の問題へと切り込む方法はないか知りたいと、村井さんを訪ねた時点では思っていた。しかし、そう簡単ではなさそうなことが、前回までの話の中でもだんだん分かってきた。フロイトが言ったとされる「心理学は芸術の後をついていく」ではないが、「心理学は現実の後をついていく」かのように、現実の方がずっとすご

    第4回 嘘を見破る4つの方法とその精度
  • 第2回 「嘘は見破れる」はウソだった

    「一言でいえば、私が数万円だましとられたっていう話なんですけれど──マドリードの有名な美術館でソフィア王妃芸術センターっていうのがあります。ピカソのゲルニカが置いてあるところです。その前に広場があって、私は友達と2人で立っていたわけです。すると、かばんをたすきがけにした若い男性が地図を片手に話しかけてきました。道が分からないってちょっと泣きそうなかんじで。私たちは彼が行きたい場所が分かったので、道順を説明していたら、警官がやってきて、こんなとこで何で両替なんかしてるんだ、最近は偽札が横行していて問題になってるぞと。やたら『フェイクマネー、フェイクマネー』って言うわけですよね」 読者は、この時点でなにかあやしいぞ、と思ったことだろう。これは、すでに「だまされ体験」を経て、あやしいことを知っている村井さんの口から聞くからであって、同じ状況にいたらと思うと、少なくともぼくは心もとない。なんか変な

    第2回 「嘘は見破れる」はウソだった
  • 第1回 いったい嘘ってなんだろう―嘘の心理学、事始め

    都内の池袋駅から東武東上線急行に乗って、20分と少しでふじみ野駅に着く。 駅前ロータリー近くから無料スクールバスに乗れば、10分もかからずに文京学院大学ふじみ野キャンパスだ。 案内された建物には、庭に面した窓から光が差し込む天井まで吹き抜けの「アトリウム」があって、まずは、とても明るい印象を受けた。 光というと、なんとなく頭の中で、「真実」とかたく結びついている気がする。たとえば、知られざる事実を明らかにすることを「●●に光を当てる」と表現したりもする。いや、「明らかにする」という表現自体、「明るくする」こととつながっている。 じゃあ、光に対する「陰」や「影」とはなんだろう。それは、「嘘」「虚偽」「欺瞞」といったものだろうか。 とっさにそんなことを考えた。 というのも、ぼくがこのキャンパスを訪ねた理由が、まさに「嘘の研究」について話を伺うためだったからだ。 「嘘」を専門分野とする心理学者、

    第1回 いったい嘘ってなんだろう―嘘の心理学、事始め
  • 第5回 「男脳」「女脳」のウソはなぜ、どのように拡散するのか

    さんは東大教養学部がある駒場キャンパスの准教授なので、大学に入ってほやほやの1年生の講義を受け持つことがある。その時のエピソードをもって、まず想像してほしい。 「駒場の1年生の心理学の講義で、最初にやるんですよ。血液型性格判断がいかに正しくないか、科学的じゃないか。でも、結構な数の子があれでショックを受けちゃうんですよね。今まで信じてましたって。でも、サイエンスとしての心理学の講義をとる以上、そこのところはちゃんとしてほしいです。血液型性格判断は、もう100パーセント非科学的なんですけど、ただ、血液型性格判断を信じてしまう人の心理っていうのは、おもしろい研究対象ではありますね」 血液型性格判断については、もう信奉する人が度を越していて、ぼくもうんざりなので、四さんのこの姿勢には大いに共感する。それが「正しくない」「科学的じゃない」理由については、稿のカバーする範囲ではないと思うの

    第5回 「男脳」「女脳」のウソはなぜ、どのように拡散するのか
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