「生き延びる」を意味する古い土佐の言葉を用い、本社が16年に始めた防災プロジェクト「いのぐ」。その一つとして、障害のある人や家族、支援者の「いのぐ」を考えます。 高知県に暮らす身体、知的、精神の障害者手帳を持っている人は約5万5千人(16年度末)。私たち記者もまず、彼、彼女たちの言葉、言葉にならない思いをみつめることにしました。 ■□■ 映画や本が好きな「たっちゃん」は、高知市で暮らす26歳の男性。知的障害を伴う自閉症スペクトラムがある。 平日は障害福祉サービスの事業所に通い、道路清掃などに汗を流す。通勤は自転車で10分だが、母親で県自閉症協会会長の平野三代子さん(62)は、そんな時間を恐れ、祈っている。「たっちゃん一人のときに地震が来ませんように」 ■□■ 自閉症スペクトラムは発達障害の一つ。こだわりが強い、コミュニケーションが苦手などの特性は人によって異なる。 「息子は多動で、独り言の
2017年春の高知県内の公立高校入試で、高知市内の男子生徒が発達障害を理由に別室受験を希望し、受験高校への手続きをしてほしいと在籍中学校に求めたが、中学校の判断で手続きがされない事案があった。別室受験については、障害などで必要な場合に受験校に「特別措置願」として希望を出せる制度がある。生徒の両親は制度への理解を求めている。 両親によると、生徒は自閉症スペクトラムと注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の診断を受けており、言葉で伝えることが苦手なほか、音や人の動きに敏感で物事に集中しづらいという。中学校では複数の科目で個別授業を受け、定期試験は別室で受けていた。 高知県内の公立高入試では、障害などで特別な配慮を必要とする場合、中学校長名で「特別措置願」を受験校に提出し認められれば、別室受験などができる。生徒の母親が2016年12月、中学校の担任教諭に措置願の提出を依頼。担任は引き受
中芸広域連合が開く幼児教室。遊びを通して親子と関わり、子どもの発達を促す(高知県田野町の町保健センター) 発達障害の子どもを診断する高知県内の拠点、高知県立療育福祉センターで、新規患者の診断待ちが1年以上と長くなっている。2016年度は「2年」と告げられた人も。なぜこんなに長いのか。 「今、助けて」 「僕も妻も外出すれば謝ってばかりです」 県中部で暮らす30代の男性は以前から、息子(4)に「育てにくさ」を感じていた。友達の輪に入れない。言うことを聞かない。すぐにかんしゃくを起こす―。「他の子とは違う」と感じていた。 3歳児健診ではブロックを積み上げるなどの課題で指示通りできなかった。子育てのしんどさを打ち明けると、自治体の育児相談を紹介された。後日、息子を観察した担当者からこう告げられた。 「療育福祉センターで診断を受けた方がいい。予約が取りづらいのですぐに電話を」 男性が慌てて電話をする
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