2011年に起きた東日本大震災を経て、人々の「防災」に対する意識は高まっただろう。災害が発生したとき、自分や家族の命を守ってくれる備えの重要性に、多くの人が気づいた。だが、命が助かったあと、崩壊した生活をどう立て直すのかも大きな課題だ。住宅のローンや公的補助、契約上のトラブルや相続問題まで想像できる人は、どれほどいるだろうか。 こうした被災後の生活再建の実際を、東日本大震災の被災者4万人の法律相談から分析し、法的ニーズやあるべき復興政策をまとめた書籍が「災害復興法学」だ。人間が飲まず食わずに生きていられる限界は「72時間」とされているが、著者の岡本正弁護士に、災害発生の「72時間1分後」から求められる「生活防災」の備えについて聞いた。(取材・構成/藤井智紗子) ●命が助かった「その後」を生き抜くのも大変 ――「災害復興法学」とはどのような考え方なのか? 「防災」というと、多くの人は、個人や
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