国の持続化給付金業務を受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会の東京都内の本部事務所は十日午後、無人だった。法人は前日九日、報道機関の代表取材に内部を公開したばかり。「実体に乏しい」という疑念の払拭(ふっしょく)に努める姿勢を示したが、訪れた野党議員は「パフォーマンスだった」と批判した。
広告大手の電通が、持続化給付金事業を受託した「サービスデザイン推進協議会」(サ協)以外にも、経済産業省の事業を受託した別の一般社団法人の構成企業に名を連ねていたことが分かった。この法人の代表理事はサ協の設立時の代表理事と同一人物で、事業を電通に再委託する手法も同じ。定款の作成者名も経産省内部の部局で、サ協と同様、経産省が設立に関与したことをうかがわせる状況となっている。 (森本智之、大島宏一郎) 電通が設立していたサ協とは別の法人は、一般社団法人「環境共創イニシアチブ」。信用調査会社によると、電通が省エネに関する国の補助金交付事業を手掛けるため、グループ企業やエネルギー団体とともに二〇一一年に設立した。構成する企業は電通、電通ライブ、電通国際情報サービス、トランスコスモス、大日本印刷など。給付金事業に関わる企業が名を連ねた。 梶山弘志経産相の十二日の国会答弁によると、一七〜一九年度の三年で
審査を担当する派遣社員が身に着ける名札やIDカード。勤務地や本人の名前などが記載されている=一部画像処理 国の持続化給付金事業は、実体に乏しい一般社団法人を経由して委託・外注が重ねられ、業務の運営が不透明だとの批判が上がっている。「ひ孫請け」にあたる企業の子会社で給付金審査を担当する派遣社員は、無駄の多さや目まぐるしく変わる審査基準など現場の実態を語った。 (嶋村光希子) 【関連記事】持続化給付金、1万件超が未払い 5月開始2日間の3・5% 【関連記事】給付金受託法人の事務所また無人に 前日に内部公開 【関連記事】給付金の不透明な業務委託 安倍首相説明尽くさず 「『資料を読んでください』と指示され、ほぼ一日、何もしなかった」。東京都北区にある審査現場で働いていた男性は、五月一日の申請初日から数日間のことを振り返った。後に、初日は申請が殺到したことで経産省中小企業庁のホームページにアクセスし
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梶山弘志経済産業相は八日に記者会見を開き、国の持続化給付金事業を委託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会に対し、業務の執行体制をチェックする「中間検査」を行うと発表した。監査法人など外部の専門家も交えて六月中に開始する。通常、外部への委託事業は年度末に人件費など資金の執行状況を検査するが、六月の段階で外部の専門家を交えた中間検査を実施するのは異例。 (石川智規、皆川剛) 法人は七百六十九億円の委託費のうち97%を電通に再委託しており、資金と事業の流れが不透明だとの批判が高まっていることを受けた。梶山氏は中間検査とは別に外部委託のあり方を検討する有識者会議を設置することも表明。「中抜きや余分な経費があるなどの疑念が持たれている。これまでの支出の妥当性などを検査する」と述べた。 中間検査では、委託事業に不適切な執行や資金の無駄がないかを調べる。経産省が委託した法人だけでなく、法人が再委託
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