佐藤栄佐久・元福島県知事 (c)朝日新聞社 この記事の写真をすべて見る 原発事故のツケが電気料金値上げという国民負担に回される流れができつつあるが、福島県ではいまも復興の道筋が見えてこない。県知事時代に国の原発政策に異議を唱えた佐藤栄佐久氏(77)に福島の“現在”を語ってもらった。 * * * 「たとえ千年かかっても2千年かかっても、元の福島に戻してもらいたい」 佐藤氏は郡山市の自宅で静かな口調で語り始めた。 福島県では現在も8万人以上が避難生活を余儀なくされ、福島第一原発の廃炉まで40年もの歳月を費やすと見られている。メルトダウンした核燃料(デブリ)の取り出しは困難をきわめ、賠償金や除染費用などの総額は21.5兆円の国の試算を上回る見方もある。 それでも国は、ひたすら原発再稼働を追求している。だが、一方で政府の強硬姿勢にあらがうように鹿児島県と新潟県で“脱原発派知事”が誕生した。佐藤