「治世の能臣、乱世の奸雄」と呼ばれ、2世紀から3世紀にかけての古代中国の歴史、三国志で華々しい活躍をするトップといえば、魏の曹操です。半ばフィクションの三国志演義は日本でも人気が高く、劉備玄徳と関羽、張飛が活躍する場面も多いのですが、実際の史実では魏の曹操が時代の支配者として描かれています。彼は多くの人物を登用し、「唯才是挙」つまり才能があれば他のことは問わず重用することを掲げて優秀な人材を吸収していきます。 ご存じの方も多いと思いますが、私たちが現在13篇の形で目にする『孫子』は基本的には曹操が編纂し、注釈をつけていた『魏武注孫子』となっています。曹操は『孫子』に自ら注釈をつけた冊子を配下の武将に配って学ばせており、彼が兵法に精通していたこと、『孫子』を元にした組織づくりに並々ならぬ熱意を持っていたことがわかります。 実際、三国志の「正史」「演義」を共に読むと曹操が指揮した魏は、軍師も含