起業やイノベーションでは「若い力」こそ最大の武器だ、というイメージがある。しかしアメリカでは、若年層よりも中高年による起業のほうが成功率が高いという。創造欲と意義を強く持っているのは、むしろ後者なのだ。高齢化が進む日本にも示唆を与える事例と研究をお届けする。 その昔、私の母が40歳になった時、我が家ではリビングに「安らかに眠る」と書いた紙の墓石を飾り、葬式に見立てたサプライズパーティーを冗談半分で開いた。いまにして思えばただの馬鹿馬鹿しいお遊びだが、当時の40歳は(全員ではないにせよ)いまの40歳よりも老いて見えたものだ。 今日の社会でも、依然として中高年への偏見が存在する。特に雇用主たちは、テレビ番組「シャーク・タンク」(「マネーの虎」のアメリカ版)のレギュラー出演者ケビン・オリアリーが気に入らない起業志望者に対してよく言うセリフを、頭の中で何度となく発していることだろう――「もう用なし