過去最高益を更新し、リーマン・ショック後の大幅赤字や米国での品質問題といったどん底から「復活」したと見られているトヨタ自動車。 盤石だったはずの成長モデルが、実は限界に近づいていた。日経ビジネス6月30日号の特集「トヨタ 迫る崖っぷち」。取材班は、愛知県豊田市のトヨタの本拠地や海外の最前線で、成長に向けて聖域なき変革に挑む現場に迫った。 トップの豊田章男社長はトヨタの現状をどう認識し、何を変えようとしているのか。乗り越えるべき「危機の正体」と「自らの使命」を打ち明けた。 (聞き手は本誌編集長、田村 俊一) 2013年度は6期ぶりに過去最高益を更新し、グループ販売台数も初めて1000万台を突破するなど、企業として未踏の領域に入ってきています。一方で、トヨタ自動車の次の成長の姿が見えないという声が広がっています。トヨタは今、どこに向かっているのですか。 豊田:今のトヨタが戦っている舞台は陸上の