金属に細かな傷が蓄積して起こる金属疲労は、技術者の悩みの種だ。その金属疲労が全く起こらなくなる可能性がある合金を、米マサチューセッツ工科大学の研究チームが発見した。結果が出た当初は研究チームでさえも信じられなかった、驚きの金属だ。 研究チームが発見したニッケル合金は、単に自己修復の能力があるだけでなく、原子レベルで傷をふさぐ力を持つ。傷の修復を原子レベルでシミュレーションした結果が、下の動画だ。 このニッケル合金は内部に六角形の構造を持っており(動画で白く囲まれた部分)、この六角形に、貫通しない程度の傷がつくことがある(動画下部)。たいしたことのない傷のように見えるが、蓄積することで金属は弱くなってしまう。傷がある常態で金属に力を掛けると、六角形の境界がわずかに変化し、正しい六角形の構造に直る様子が分かる。 今回の研究成果を応用すると、合金の構造などを工夫することで、ほとんど全ての傷を自己