「なぜEBMは神格化されたか」大脇幸志郎著p210-212 2021年末にイスラエルから報告された、COVID-19ワクチンのブースターについての観察研究は、それまで標準的とされていた2回接種を受けた人に比べて、3回接種を受けた人でのCOVID-19による死亡率は0.10倍と報告し、3回目接種の効果を印象付けた。この報告を受けて西側諸国で3回以上の接種が広く行われた。ところが1年半後の2023年7月ヴィナイヤク・プラサードを含む3人の著者が、イスラエルの研究に大きなバイアス(偏り)が疑われることを指摘した。プラサードらの推計によれば、イスラエルのデータではCOVID-19によらない死亡もまた3回目接種の有無によって20倍近い開きがあり、もともとの健康状態から死亡リスクの高い人が3回目接種を受けていなかった、すなわちブースターの効果と見えたもののかなりの部分が、ブースターの対象者がもともと死