今、「東京散歩」が注目を集めている。といっても、その対象の多くは、新たなスポットやニュース性のある施設ではない。古くからあり歴史を感じさせる建築や、味わいのある商店街やお店が並ぶ場所、東京の成り立ちを垣間見ることのできる地理を巡るといった「再発見」をキーワードにしたもの。つまり、今までとは違った視点でセレクトされたスポットがまとめられているのだ。 11月13日に発売された、『東京建築 みる・あるく・かたる』(倉方俊輔、甲斐みのり:著、死後:イラスト、吉次史成:写真/京阪神エルマガジン社)は、街角にあるちょっとレトロな建物から、博物館や駅舎、商業ビルなどを巡るという東京散歩を紹介。エリアごとにテーマを設け、建築を解説しながら時代背景や土地の成り立ちなどにも言及した、親しみやすいお散歩ガイド本だ。 歴史に残るような名建築を訪れるための散歩本はこれまでもあった。しかし本書では、商店街の喫茶店や食