アル・パチーノと彼女がタンゴを踊る場面は、第一の見せ場。第二の見せ場は、アル・パチーノが盲目の身でフェラーリを運転する場面ではなく、親戚の家を訪ねていき、そこで親戚の男からアル・パチーノがくそみそに罵倒される場面。アル・パチーノの、口は悪いがほんとうはいい人間なのだ、という、通り一遍のいんちき人間観が否定される。たしかに親戚にアル・パチーノみたいなおやじがいたら、いやだろうな。 だが最高の見せ場は、ラストシーンにある。チャーリーが通う伝統ある名門高校で、ある生徒たちが起こした不祥事を裁く全学集会が開かれる。責任をチャーリーひとりに押し付けて事の解決を無難に図ろうとする校長と、口を閉ざしてあわよくば無罪放免を期待する実際の犯人である金持ちの家の生徒たちを相手にして、スレード中佐がチャーリー擁護の演説をぶちあげるのだ。映画史上、最高最良の演説であり、これほどカタルシスがある映画もまたとない。映