厚生労働省は厚生年金の支給開始年齢を引き上げる案を社会保障審議会年金部会に示した。年金財政の悪化や少子高齢化の進展を見れば、年金支出の抑制措置は避けられまい。ただ、高齢者の雇用の場が確保されなければ生活困窮者があふれ出る可能性がある。雇用政策とセットでの議論が必要だ。 国民皆年金が始まった1961年当時、男性の平均寿命は66歳、女性70歳、サラリーマンの定年は55歳が普通で年金も55歳から支給されていた。現在、女性は世界一の長寿で86歳、男性も79歳。今後も延び続け、高齢化のピーク時には女性は90歳を超える。雇用や年金を長命社会に見合ったものにするのは当然だ。 厚生年金の報酬比例部分は男性は13年度から、女性は18年度から3年に1歳ずつ引き上げられることになっている。今回、厚労省は(1)引き上げを2年に1歳ずつにする(2)現行スケジュールで65歳まで引き上げた後、基礎年金と併せて68歳に引