ブックマーク / blog.tatsuru.com (6)

  • 階層化する社会について - 内田樹の研究室

    大学院ゼミで井原さんが『下流志向』の韓国における受容について貴重なレポートをしてくれた。 私のはこれと『寝ながら学べる構造主義』が韓国語で出版されており、『若者よマルクスを読もう』が現在翻訳中である。 この選書基準が興味深かったので、そのことについてゼミでお話した。 『下流志向』はネット上での書評を見る限り、あまりちゃんと理解されていないようであった(「上から目線」で勉強しない人間や労働しない人間を「叱咤」しているというふうに読んだ人が多かったようである)。 現地出版社のプレゼンテーションに多少のバイアスがかかっていたのかもしれない。 『下流志向』のポイントは (1)日社会の「階層化」が進行していること (2)階層下位に向けての「自分らしく生きる」イデオロギーの集中的なアナウンスによって階層化が果たされつつあること この二点である。 これはもちろん私の創見ではなく、苅谷剛彦さんの『階

  • 草食系男子の憂鬱 - 内田樹の研究室

    大学の三年生ゼミは「草系男子」について。 先般、四年生のゼミでも同じ主題が取り上げられたので、彼女たちからするとかなり喫緊の課題のようである。 発表後とりあえず全員に聞き取り調査をして、「あなたが知っている草系の実像」についてご報告をうかがう。 いや、聞いてびっくり。 ゼミ生のほとんどの彼氏が「草系」なのである。 特徴は すぐ泣く。 拗ねる。 「どうせぼくなんか・・・」といじける。 かわいこぶる(齧歯類系の「かわいさ」を演じるのが上手) メールに顔文字をたくさん使う。 優柔不断で、「何べる?」「どこ行く?」といった質問に即答できない。 化粧品にうるさい。 肌を美白に保つことに熱心。 ヘア命(ヘアセットができてない姿を見られると、スッピンの女性のように身もだえするらしい) 家族と親密。 などなど。 こういう男子が20代に大量に存在しているらしい。 ううむ、そういうことになっているとは

  • またインタビュー - 内田樹の研究室

    願寺の出している「サンガ」という雑誌のインタビューで三人の住職さんとカメラマン一人がおいでになる。 「お西さん」の出している「ジッポウ」の仕事もしているし、「寺門興隆」にはついこの間バリ島で昼寝をすると気分がよろしいというようなエッセイを書いた。 なぜか、仏教系メディアからのお仕事が多い。 どうしてなのであろう。 私の考えていることのどこらへんが仏教的に「フックする」のか、自分ではよくわからない。 今回のお題は「学びと労働」である。 どうして子どもたちは学ぶことを拒むようになったのか、どうして若者たちは「クリエイティブな仕事」を求めて転職を重ねるようになったのかという、このところよく訊かれるお題である。 それは「消費文化」のせいであるとお答えする。 「消費文化」とは「人間は消費を通じて自己実現する」というイデオロギーのことである。 どんな家に住み、どんな家具を並べ、どんな服を着て、どん

  • めちゃモテ日本 - 内田樹の研究室

    CanCamの「ひとり勝ち」状態について、これまでメディア関係者から何度か訊かれたことがある。 「どうしてなんでしょうね」 そんなこと私に訊かれても。 しかし、ありがたいことに学の学生諸君には多くのCanCam読者がおり、彼女たちは当該雑誌と競合誌『JJ』や『ViVi』との記号論的差異について、世界でいちばん詳しい。 その中のひとりであるM村くんが、CanCam系ファッションの究極の目的であるところの「めちゃモテ」とはどういう状態を指すのか、というたいへん大胆にしてラディカルな問題提起をゼミでしてくれた。 こういうおいしい「現場ネタ」を寝ころんだまま拾えるのが女子大教師の特権である。 同僚の教師諸君の多くは教室で「学生に知識を教える」ということをされているが、私はできるだけ「学生から知識を教わる」ようにしている。 お給料をいただいてそれでは「やらずぶったくり」というか「盗人に追い銭」では

  • 恋愛と結婚のおはなし - 内田樹の研究室

    久しぶりのオフ。 三宅先生のところに行くと、待合室に甲南合気会の井上さんがいた。 診療室ではゑびす屋谷口さんが治療中で、「ウノ先生がいま帰りました」ということであった。 なんだ身内ばかりだなとつぶやいていたら、ゼミのタムラくんがお母さんといっしょに待合室に入ってきた。 身体症状というのは重篤な個人情報であるはずで、そのせいで病院では患者の名前さえ呼ばないというのだが、ここでは三宅先生が大きな声で患部の状況についてご説明くださるので、誰がどのような身体的問題を抱えておられるのか全員周知のこととなってしまう。 しかし、そのようにして他者の身体に起きている苦痛やこわばりや歪みに同期し、それがいまここで行われている治療によって緩解してゆく「体感」をリアルタイムで追体験すること、他の患者の治療に立ち会うということそのものがすでに治療行為となっているという点が三軸修正法のすぐれた特徴なのである。 私の

  • 創造的労働者の悲哀 - 内田樹の研究室

    興味深い記事を読んだ。 12月18日毎日新聞夕刊に東大で行われた学生実態調査の報告についての短信である。 学部学生3534人(回答者は1367人)対象のアンケートで「自分はニートやフリーターになるように思う」と答えた学生が7.4%、「ニートにはならないが、フリーターになるかもしれない」と答えた学生が20.9%。 あわせて28.3%の東大生がいずれニートかフリーターになる可能性を感じている。 この数値の経年変化にも興味があるところだが、記事では触れられていない。 個人的予測を述べさせてもらえれば、数値はこの後も増え続けるだろうと思う。 東大生が就職にきわめて有利なポジションにいることはどなたでもご存じである。 だから、彼らがそれでも「ニートかフリーターになるかもしれない」と思っているのは、「就職できない」からではない。 新卒でちゃんと一流企業や官庁に就職はするのである。 オフィスにばりっとし

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